五感情報通信技術に関する調査研究会(第1回) 議事要旨 1 日 時:平成12年11月22日(水) 14:00〜16:30 2 場 所:郵政省 第2特別会議室(3F) 3 出席者(順不同、敬称略) 座 長:廣瀬(東京大) 構成員: 阿部(東京大:代理 松本)、 池井(都立科技大)、 池口(アーニスサウンドテクノロジーズ)、 片桐(ATR)、 小宮(資生堂)、 阪田(NEC)、 佐々木(東京大)、 澤野(高砂香料)、 土井(東芝)、 鳥居(味の素:代理木村)、 中山(CRL)、 西条(富山医科薬科大)、 平原(NTT)、広田(東京大)、 森泉(東工大:代理 中本)、 安田(東京大) 事務局: 田中技術総括審議官 松井課長、 島田課長補佐、 瀬戸下係長、 小川(技術政策課) 4 配布資料 資料1−1 「五感情報通信技術に関する調査研究会」開催要綱 資料1−2 五感情報通信技術に関する調査研究会の進め方について(案) 資料1−3 五感情報通信技術のイメージ 資料1−4−1 五感情報通信技術の研究・技術動向 資料1−4−2 関連新聞記事(澤野構成員) 資料1−4−3 音を聴くしくみ(平原構成員) 資料1−4−4 符号化技術の展望(安田構成員) 資料1−4−5 電子情報通信学会論文誌(土井構成員) 資料1−5 今後の審議スケジュール 参考資料 情報通信研究開発基本計画(電気通信技術審議会答申(平成12年2月28日) 5 議事の概要 (1) 開会 (2) 技術総括審議官挨拶 (3) 座長の選出、座長代理の指名 開催要綱に基づき、座長には、廣瀬構成員が選出された。 座長代理には、池井構成員が指名された。 (4) 議事 @ 研究会の進め方について 事務局より資料1−1及び資料1−2に基づき説明。資料に沿った方向で議 論を進めていくこととした。 A 研究会の公開について 本研究会の議事は原則公開することとし、議事要旨をホームページ上に公開することについて承認された。 B 五感情報技術の研究・技術動向について ア 事務局より、資料1−3に基づき、五感情報通信技術のイメージについて説明。 イ 自己紹介と、互いのフィールドの情報交換を兼ね、各構成員より研究内容術の動向等について下記のとおり紹介があった。 (紹介順) 廣瀬座長: バーチャルリアリティ(VR)技術の動向について VRについて研究をしている。VRでは、あたかもそこにいるかのような感じをどこまでコンピュータテクノロジーで創出できるのかというのが課題となる。五感通信でいえば、VRはどちらかといえば再生側になるだろう。 現在は、郵政省が整備したギガビットネットワークを使い、仮想空間同士をつなぐプロジェクト(MVL)を実施している。これは、現在までに確立され た技術を使っているもので、五感で言えば二感ぐらいを通信するものと言える。 これを、五感に拡張し、いろいろな感覚を通信メディアに取り込んでいくこと がこの研究会の目標となろう。 夢のような話であるが、技術的にはある程度の シナリオはできていてどこを補強すれば実現するかというレベルになっていると思う。 安田構成員: 符号化技術の展望について 符号化について研究をしている。現在議論されていることは、画像にも新しい機能を付けようということである。まずは、大画面が必要である。こうする とカメラを動かさなくても良い。機能としては、視線一致の検出はほぼうまくできるようになってきている。視線一致を知り画面を大きくしていくと、どんどん、今、対面で人間がやっていることに近づいてくる。視線の違いがわかるコ ーディングを実現したい。 大画面では、見たところを見たいように画面が動かせれば面白い。以上のようなコーディング+コントロールが現在の議論の対象 となっている。また、特徴を抽出して著作権に結びつける技術を研究している。 五感を表現できる符号化が求められており皆さんと一緒に取り組んでいきたい と考えている。 阿部構成員(代理:松本氏): 味の受容・応答の分子メカニズムの解析について味覚情報伝達について研究している。味覚の受容と脳での認識の仕組みにつ いて分子のレベルで解き明かすことが目標。味覚とは学術的に言えば、口腔内 の化学物質が味蕾という器官で受容されて生じる化学感覚のこと。味の違いは、 味蕾の中の味を受容する分子の多様性によって分類・集約されていると考えられている。 近年多くの味を受容する分子群が同定されるなど、研究が進んでお り、これらの知見を活かし、味物質を工学的にデザインすることで、新しい味 覚工学への展開が期待されている。また、神経への伝達の仕組みが解明されれば、神経を刺激することで疑似味 覚を誘起できるのではないかと考えている。これにより病気等により味覚を失った人にも疑似味覚が実現できれば、生活の向上にもつながる。 池井構成員: 触覚情報に関する研究についてバーチャルリアリティーとしての触覚の再現を中心に取り組んでおり、皮膚 感覚のための触覚ディスプレイを作っている。触覚とは、大きく分けて、皮膚感覚として、皮膚表面に分布しているセンサーで物理的な情報を感じるもの、 関節や筋肉で対象物から受ける合力としての力を感じるものに分けられるが、自身は、表面の特性、特につるつる・ざらざらというテクスチャの情報を表現 する装置を作っている。 90年代の最初の頃からこのような装置が作られており、最近では、更に詳しい表面の摩擦やテクスチャの情報をどうやってをどう表現 するかが議論になっている。 触覚の提示装置は色々なものが試験的に作られており、エアジェットや電気 刺激等は、60年代くらいから感覚を失った方への感覚代行手段として用いら れてきた。私が取り組んでいるものは、ピンを並べて振動させテクスチャを表現するものである 最近は対象物に画像を投影してなぞれるようにしたり、振 動だけでなく手応えと一緒に表現するようなものも作っている。さらに心理学上の影響も調べている。また触覚関係のライブラリーをつくっており、これが情報通信には役立つだろう。現在はこれらのXML化にも取り組んでいる。 池口構成員: アーニスサウンドテクノロジーズ社の事業概要についてアーニスとは森羅のローマ字を逆に綴ったもの。森羅万象を音で表現することを目指している。2つのスピーカやヘッドホンで立体音響を作ることができる技術を企業化し、1年前に会社を設立した。これまで大阪で、ヘッドホンで春夏秋冬の海の立体音響を体験する装置を納入している。立体音響のデモを次 回以降にご紹介できればと考えている。 片桐構成員: 五感情報通信の研究動向についてマルチモーダルな情報を使って人間がどういったことをしているかということと、その知見を利用して新しいコミュニケーションの技術ができないかということについて取り組んでいる。コミュニケーションとは自者と他者がある種の共感できるような世界を作ることが目的であり、従来の情報伝達から共感世界の構築という観点から研究を行っている。 TV会議システムを使う際にまず電話をかけてからシステムを使用したり、 精密な画像でもフレームレートが落ちると不自然な印象を与え、話していることの内容さえ伝わりにくくなるという話があるように、技術が頑張ってもなかなか臨場感は出てこない。 コミュニケーションの中で人間の周辺的に流れている情報が大事だろう。まず人間が何をしているのかを調べることが大事だと考えている。テクノロジーとしては、インタラクティブなものを作ると没入感があって良いと思う。例えば、VRで走ったり歩いたりする感覚を共有したりすることを している。また、人間とロボットとの共生として、ロボットとコミュニケーションをとって仲良くするためにはどうしたらよいのかという研究もしている。 小宮構成員: 資生堂デジタルメディアクリエーション室概要等について所属するデジタルメディアクリエーション室は、資生堂webの管理、CG製作装置の開発を行っている。例えば、オンライン上でカウンセリングやシミュレーションを行う装置を作っており、これは将来的にはデジタル化粧への展開が期待できる。テレビ電話が発達した時に、画像上に化粧を施すことが可能になると考えている。 以前はヒューマンメディア研究所と称し、ヒューマンの研究もしており、そういう意味では今回の話と近いのではないかと思う。五感通信については、インターネット上で効率よく通信品質を保つことが大きな課題ではないかと考えている。五感情報を広帯域インターネットあるいは携帯インターネット上でどのように通信できるのかというのが課題になるだろう。
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上記は下記の資料を解りやすいようにまとめたものです。
↓↓↓総務省が出している「五感情報に関する資料です。
五感情報通信技術に関する調査研究会 |
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